片刃の革包丁の効率の良い研ぎ方を考える

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刃物研いでますか?
今回は、包丁とはいっても、革を裁断する際に使用する『革包丁』について、いつも私がやっている研ぎ方ついて書きたいと思います。

刃物の研ぎ方は、道具や技法も様々あります。どれが良いとは言えませんが、自分で研いでみて一番しっくりする方法で研げばいいと思います。私の研ぎ方は完全に自己流の研ぎ方ですので、詳しい方から見れば突っ込みどころがあるかも知れません。しかし、これから説明する研ぎ方で十分切れ味抜群ですので、あながち間違っていないような気がします。
※これから研いでいるうちに間違いに気がつき、今後改良が加えられる可能性があります(笑)。その辺は大目に見ていただけますと幸いです。

研ぎのコンセプトは、楽して切れ味抜群に。

今回研ぐ刃物は『片刃』の刃物です。片刃の刃物は結構ありまして、包丁、鉋の刃、彫刻刀、小刀などがあると思います。
革包丁は①の面と②の面を研ぐことで、刃を作っていくわけです。
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砥石は何を使えばよいか?

まず、砥石は1種類を用意します。私が使用している砥石は、キング砥石の1200番です。1200は中仕上げにあたる砥石で、ホームセンターなどで1,500円くらいで売っています。
最初は600などの粒度の粗いものも使っていましたが、だんだん使う意味が無いかな?と思うようになって、最終的にはこの1つで十分との結論に至りました。

刃を作る

片刃の刃物はまず①の平らな側を平滑にすることが大事です。ココが平らに研がれていないと、②をいくら研いでも刃がまっすぐになりません。①が刃物の基準とも言えるとても重要な面になります。
当たり前のことですが、①を平らに研ぐには、それを研ぐ砥石も平らでないといけません。砥石は新品のときは平滑に出来ていますが、刃物を研いでいるうちに中央が凹んできてしまいます。

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凹んだ砥石で研いだら曲がった状態で刃物が仕上がります。それを防ぐために、研ぐ前に常に砥石が平らになるようにします。

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私の場合は上図のように硬いダイヤモンド砥石と合わせて、砥石同士お互いを研いで平滑になるようにしています。
砥石が平らになったら、図のように最初は①の側を砥石を平らに均すように研ぎます。この時若干刃先の方に力がかかるイメージで研ぎます。平面の面積が多い①の側を使うことによって、砥石を凹まさないようにすることができます。
砥石と革包丁が平滑になると、ぴったりと吸いつくようになります。ただし、新品の革包丁では①の平面がきちんと出ていなかったり、高価な革包丁では、最初から①の面が凹んでいたりします。

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手を放しても包丁が落ちません。

あまり安い革包丁を買いますと、新品の革包丁でも、この①の面が整っていなくて、①の面を平滑に出していくまで何度も研がなければならず本当に苦労しますよ。私の革包丁がまさにそれでした…。

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①が研げたら②の方を研ぎます。こちらは砥石を横にして細かくずらしながら研ぎます。縦にした方が1回で研ぐ距離が長いので、圧倒的に早く研げるんです。でも、距離が長いほど刃先を一定の角度で研ぐのが難しいからです。

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砥石を横にしても、一定の角度で研ぐのは難しいです。これは研いだときの感覚で慣れるしかありません。コツとしては手先だけで動かすのではなく、体全体を固定して膝で研ぐようなイメージで研ぎます。
また、押すときは弱く研ぐと良いような気がします。以前は刃先を横に研いでいたんですが、研ぐ面積が細くなると砥石の面が荒れてしまうため止めました。しかし、刃への負担を考えると横の方が良いような気もします…

②の面が研げたかどうかを確認する目安は、刃の部分にバリと言うか金属のカスが出たかどうかで判断しています。
ティッシュをふわりと刃に当てて横にずらすと、このバリに引っかかりますので解ります。まあ、目視でも十分わかると思います。

いよいよ仕上げ研ぎ

さあ、中仕上げの砥石での研ぎはこれで終了。荒削りですが刃ができました。この状態でも革を切れないことは無いんですが、仕上げの研ぎに入りたいと思います。
仕上げ研ぎで私が使用しているのが、コンパウンドと革の端切れです。

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このコンパウンドは私が中学生時代に、金工作で真鍮の文鎮を作った時に買ったものだと思います。ものすごく古いです。油?溶剤に研磨剤が入っているタイプです。
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これを棒で良くかき混ぜてから、革包丁を浸します。

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そして、また砥石のときと同じく①の面から革にこすり付けて磨き上げます。コンパウンドが黒くなっていきます。①がピカピカになってきたら終了。この時も若干刃先側に力を入れるイメージです。

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②の面を今度は磨いていきます。

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最後に綺麗な革の部分で刃を乾拭きしますと、砥石で研いだ時よりも滑らかで艶のある刃先が出来上がります。ためしに革を切ってみてください。研ぐ前に比べて格段に切れ味が良くなっているはずです。

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尚、磨き終わったら革の端切れはそのまま取っておきます。一度砥石で刃が出来上がってしまえば、毎回砥石で研がなくても、コンパウンドと端切れで作業前に磨くだけで2週間ほどは切れ味が変わらずに仕事ができます。
そして、2週間たったら再び砥石で研いで刃を作り、コンパウンド+端切れで仕上げ磨きすると言った感じでやっていくと良いと思います。

まとめ

・砥石は中仕上げの1000番程度の砥石1つで刃を作る
・刃ができたらコンパウンド+端切れで仕上げ研ぎ
・コンパウンド+端切れで仕事前に毎日研ぐ
・2週間たったら砥石で再び刃をつくる
の繰り返しです。

いかがでしたでしょうか。
私が実践している簡単に革包丁を研ぐ方法です。実はコンパウンドを使うともう一つメリットがありまして、含まれる油分のおかげで革包丁が錆びないんです。※石油系溶剤のコンパウンドの場合です。なかなか便利な研ぎ方ですので是非お試しください。

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