トートバッグの持ち手のお直し

今日は思い出深い、くも舎創業の2014年当時に制作したトートバッグの直しをいたしました。このブログでは公開したことが無いかもしれません。

創業当時に思いを馳せる

小さな茶色のトートバッグは、まだ使用する革もすべてが定まっていない手探り状態の時期に制作しました。

革はキップのやわらかいシボ革で、糸はエスコードの白だったと思います。構造は内縫いの至ってシンプルなトートバッグです。

8年経って各部ステッチがほつれてしまいましたので、縫いなおしをいたしました。

まずは持ち手をバッグ本体から外して、ほつれたステッチをすべて解いていきます。

後で修理しやすいように接着剤を使っていないのは今も変わらずです。ステッチの麻糸は長期間の使用によって繊維がふわふわになっていて、引っ張りへの耐性はすでに無くなっていました。

ステッチの縫い終わりは今ではやっていない方法でした。ああ、こんな風に当時は作っていたのかとしみじみ。

マチの二重のステッチはほつれが出ていましたので、途中まで解いて縫い終わり処置をしておきます。

ほつれた糸を縫いなおします

8年で糸は目に見えて進化しました。今では六花リネン糸があります。当時の糸の太さに近い0.6mmの07白を使っていきます。

今回は持ち手に芯を入れてから縫いなおします。芯を入れることで、手とステッチの触れる回数が減り、ほつれ防止に役立つはずです。それにしても縫いなおした後、シャキッと蘇るのは手縫いかばんの良さですね。

トートバッグのお直し終了です

持ち手を付けて、マチのステッチを縫いなおしてトートバッグが完成しました。このトートバッグ、使っている革や、持ち手の付け根のステッチ以外のディテールは今のトートバッグ2型の原型ともいえるバッグです。また、クタっとしたシボ革を使っているところは業務型SLとも共通点の多い面白いモデルです。

素直な作りのカバンは修理も楽です。改めて制作の考え方に間違いはなかったと再確認できました。

眺めているとやはり粗削りな印象を受けますが、当時の奮闘がひしひしと感じ取れます。今に無い素朴なトートバッグですね。

また使ってもらえる状態になりました。

 

 

 

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