先日サラリーマン時代の友人と久々に会う機会があり、楽しく飲んだ時にふと、革のベルトを見てほしいと袋に入れて渡されました。イタリアの革で作られたベルトとの事だったのですが、ヒビが入ったのでオイルを足してほしいとの事。その日はベルトをよく見ずに楽しく飲み明かしたのでした。
革のケアだけなら早くやってしまおうと思っていたのですが、その後忙しくなってベルトは放置状態…。先日ふとベルトの事を思い出して、来年に持ち越す事でもないし、今年中にやってしまおうと思い立ち、作業の合間にベルトを取り出しました。
何じゃこりゃ…
袋から取り出したベルトを見て思わずつぶやいてしまいました。静かな制作室で。一見普通の革ベルトなのですが…
ベルトの裏面には『LEATHER IMPORTED FROM ITALY』と誇らしげ。
革をクイッと軽く曲げるとヒビが… とても嫌な予感がします。
普通だったらそのまま友人に返すところですが、せっかくなので分解します。※それが許される友人なのです。念のため。
グイッと曲げるとヒビが入って、面白いくらいポロリと表面が剥がれます。
表面の樹脂をはがすと芯となっていた革(らしきもの)が現れますが、約半分の厚みになってしまいました。相当の厚盛り樹脂ですね!
勉強のために断面をカットしてみてみましょう。中心で綺麗に二層になっていますが、厳密に言えば一番上の黒い樹脂層、その下の黒い革、その下の茶色い革、その下の薄い茶色いビニールの四層構造なのが分かります。
革だけど革じゃないベルトでした
色々と分解したり、樹脂をはがしたりしたベルト。友人に寿命がきてると伝えまして、処分しといてくれと言われましたので処分することにしました。『イタリアの革なのにね』と言っていましたが、1,000円くらいで買ったそうですから、何年使ったのかは分かりませんが、十分ベルトとしての役目は果たしたのではないでしょうか。
こういう革は表面を厚い樹脂で覆っていますので、傷や色、質感など、革としての個体差が殆どでないため、安価に大量にベルトをつくるには良いかもしれませんね。ただし、いくらケアをしたところで経年劣化は避けられません。
以上、最近のちょっと面白かった話でした。
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