革と長く付き合う

先日の話。くも舎を立ち上げてから1年も経っていない2015年に、トートバッグをご注文いただいたAさんとお会いする機会がありました。
制作当時の記事がこちらです。今からもう4年以上経っているんですね。

栃木レザーの経年変化エイジング

Aさんが近々オープンされるカフェに、まだ工事中ですがお邪魔することになりました。
創業まもないくも舎にとって、革の経年変化が実例としてお見せできないのが辛いところでしたが、ようやくこういう事例がお見せできるようになりました。豪華な一枚板の真新しいカウンターの上で、今でも現役で使用しているというトートバッグ2型と対面しました。


完成当時はスムースだった本体部分の栃木レザーのヌメ革は、全体的に自然なシボが入って、クタッとしてとても柔らかくなっていました。伺うとAさんは革を柔らかくするために日頃から揉んで使っているとのことです。革の繊維がほぐれて柔らかくなりました。ちょうど良いので5年使用している、シミだらけの私のトートバッグ第1号と並べてみます。使用しているのは同じ栃木レザーですが、質感は全く異なるのが興味深いです。革との付き合い方、使い方によって全く違う育ち方をしますね。

ブッテーロの経年変化エイジング

同じくAさんとIさんに2016年に納品させていただいたコインケース(約3年)も見せてもらいました。コインケースはイタリアのブッテーロ生成りを使用しております。並べてみるとまったく経年変化が異なることがわかります。左はトートバッグの持ち主のAさんのコインケース。右はデザイナーIさんのコインケースです。Iさんのコインケースは傷だらけですが、表面に強い光沢が認められます。対してAさんのコインケースは傷一つないマットな質感。どちらも同じだけ時間が経過したのに、使い方で変わってくる良い事例となりました。

3年前、最初はこんな色だったんです。

ミネルバ・リスシオの経年変化エイジング

ちょうどよいので私の息子が愛用しているブックカバーもご紹介します。ブックカバー1型文庫サイズ。使用革はミネルバ・リスシオのボーネ(生成)になります。普段から使用してノーメンテナンス。
使用してから2年位でこんなに色と艶が変わります。

巷で販売されている革製品の多くは利便性もあって、経年変化しにくくて発色も良く、多少の雨でもシミにならないクロームなめし革が多いです。それはそれで革の特性でありメリットです。実際くも舎のトートバッグ業務型SLはクロームなめし革を使用しています。しかし、キズやシミはつきやすくても、ウィスキーのようにじっくりと経年変化して行く植物タンニンなめし革と付き合うのも奥が深くて楽しいものです。

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