推定91歳の革トランクのリペア その3

前回まではこちらから

推定91歳の革トランクのリペア その1

推定91歳の革トランクのリペア その2

持手まわりのリペア

トランクについていた持手です。肉盛りされ優美で持ちやすいです。けっこう早い段階から千切れていたようで、錆びた針金でくっついていました。重たいトランクを支えるには少し華奢だったようです。

ステッチを解いて内部構造の確認です。黄色く太い糸は手縫いされ、厚紙が芯になっていました。

根革の方も千切れかかっていましたので、取り外します。最初は下のような状態でした。千切れるのは時間の問題です。

ステッチを解いて内装を剥がすと裏の縫い目にアクセスできます。

どういう持ち手にするか

鈴木カバン店製トランクは立体的な装飾が凝った作りの持手です。これをそのまま再現するか。または重たいトランクを支える強度があれば装飾は不要なのか。悩ましいところです。革についても生成りのヌメ革で作るのか、古いトランク本体の色に合わせて染色済みの革を使うのか。という選択肢があります。

オリジナルにこだわるのか。仕様を変更して行くのか。こういった判断は職人さんのタイプや修理を依頼された方の希望によるところだと思います。

今回私は折衷案で行くことにしました。デザイン性を損なわない程度でシンプルに素早く作り直します。なぜならこれは私のトランクだからです。そんなに時間を取るわけにも行きません。

使用革はブッテーロのチョコ。持ち手はブッテーロ2枚重ねで回りを包む方式にしました。根革は肉盛りを排してフラットで作ります。糸は六花リネン糸の04茶0.6mmで縫い上げます。外した根革から形をとっていますので、縫い目の位置や形状は全く一緒です。

でも時間が出来たら作り直すかもしれません…

蓋のストッパーを作り替える

トランクの蓋を開いた際に開ききらないようにするストッパーのベルトもヒビだらけなので作り替えます。

つづく

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